HDMI分配器で1入力2出力の拡張モード対応製品の基本と選び方を徹底解説
パソコンの画面を拡張して作業効率を上げたいと考え、「HDMI分配器 1入力2出力 拡張モード対応」と検索して製品を探している方は多いのではないでしょうか。しかし、いざ分配器を購入してみたものの、なぜか同じ画面しか映らず拡張できない、という経験はありませんか。実は、一般的なHDMI分配器では、2画面のデュアルディスプレイ拡張はできません。この記事では、hdmi 1入力 2出力 拡張とは何か、そして分配器ではhdmi 拡張ができない理由を詳しく解説します。さらに、ノートパソコンで3画面にするにはどうすれば良いのか、2入力2出力 拡張モード対応の製品とは何か、最終的にあなたの目的を達成するためのおすすめ製品まで、網羅的にご紹介します。
- HDMI分配器で画面を拡張できない根本的な理由
- 拡張モードと複製モードの決定的な違い
- あなたのPC環境に合ったマルチディスプレイの構築方法
- 目的別の変換アダプターやドッキングステーションの選び方
HDMI分配器 1入力2出力 拡張モード対応の基本知識
この章で解説する項目
- HDMIの1入力 2出力 拡張とは?
- 分配器によるHDMI拡張の仕組み
- なぜ分配器では拡張できないのか
- 拡張モードと複製モードの違い
- 2画面のデュアルディスプレイ拡張方法
- ノートPCで3画面にするには?
HDMIの1入力 2出力 拡張とは?

まず、「hdmi 1入力 2出力 拡張」という言葉について正確に理解することが重要です。多くの方がこのキーワードで検索する際、1つのHDMIポートから2台のモニターにそれぞれ異なる画面を表示することを期待されています。これが「拡張モード」と呼ばれるものです。例えば、ノートパソコンの画面とは別に、2台の外部モニターでそれぞれ異なる資料やアプリケーションを開いて作業領域を広げる使い方を指します。
しかし、市場で「HDMI分配器」または「HDMIスプリッター」として販売されている多くの製品は、この拡張モードには対応していません。これらの製品は、1つの映像信号を単純にコピーして、複数のモニターに全く同じ画面を映し出す「複製モード」のための機器です。したがって、「1入力2出力」という表記は、1つの映像を2つの画面に「複製」して出力するという意味合いが強いのが実情です。
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分配器によるHDMI 拡張の仕組み
一般的なHDMI分配器が、なぜ拡張モードを実現できないのか、その仕組みから解説します。HDMI分配器は、パソコンやゲーム機などから送られてきた1つの映像信号を受け取り、内部で信号をそのまま複製し、接続されている複数の出力ポートへ同時に送り出します。
これを例えるなら、音楽プレーヤーにイヤホン分配ケーブルを接続して、2つのイヤホンで同じ音楽を聴くのと同じ原理です。音源は1つであり、分配ケーブルは音を2つに分けているだけで、左右で別々の曲を流すことはできません。
映像信号は1つのまま
パソコン側から見ると、分配器の先に何台のモニターが接続されていても、認識しているのは「分配器」という1台の機器だけです。そのため、パソコンは1台のモニターに対して映像信号を1つしか送ることができず、分配器はその1つの信号を正直にコピーして各モニターに映し出すことしかできないのです。
このように、分配器には映像信号を個別に生成したり、デスクトップ領域を分割して別々の情報として送り出したりする機能は備わっていません。これが、分配器でHDMIを拡張できない根本的な理由となります。
なぜ分配器では拡張できないのか

前述の通り、HDMI分配器は入力された1つの映像信号をコピーして複数の出力に分配するだけのシンプルな機器だからです。パソコンは、分配器の先に接続された2台のモニターを個別のディスプレイとして認識することができません。
パソコンのOS(WindowsやmacOS)は、接続されたディスプレイを個別に識別し、それぞれに異なる画面情報を送ることで拡張デスクトップを実現します。しかし、分配器を使うと、パソコンからは1つのディスプレイしか接続されていないように見えます。
分配器使用時のPCの認識
PC(映像ソース) → 1つの映像信号 → HDMI分配器 → 信号をコピー → モニターA(同じ画面)/ モニターB(同じ画面)
この流れからも分かるように、モニターAとモニターBに送られる信号は全く同一のものです。そのため、原理的に異なる画面を表示する「拡張」は不可能であり、同じ画面を表示する「複製(ミラーリング)」しかできないのです。
もしマルチタスクのために作業領域を広げたいのであれば、分配器ではなく、パソコンが複数のモニターを個別に認識できるような別の機器が必要になります。
拡張モードと複製モードの違い

マルチディスプレイ環境を構築する上で、「拡張モード」と「複製モード」の違いを理解することは非常に重要です。目的によってどちらのモードが適しているかが変わるため、ここで明確に整理しておきましょう。
項目 | 拡張モード (Extend) | 複製モード (Duplicate/Mirror) |
---|---|---|
表示される画面 | それぞれのモニターに異なる画面を表示 | すべてのモニターに全く同じ画面を表示 |
デスクトップ領域 | モニターの枚数分、作業領域が広がる | 作業領域は広がらない |
主な用途 | ・複数資料の同時参照 ・別アプリでのながら作業 ・Web会議とメモ取りの同時進行 | ・プレゼンテーション ・店頭でのデジタルサイネージ ・多人数での映像鑑賞 |
必要な機器 | ・PCの複数映像出力ポート ・ドッキングステーション ・USB変換アダプター | ・HDMI分配器(スプリッター) |
このように、デスクワークの生産性向上を目的とするならば、選ぶべきは拡張モードです。一方で、同じ情報を複数の人に見せたい場合には複製モードが適しています。ご自身の利用シーンを想像し、どちらのモードが必要なのかを判断することが、適切な製品選びの第一歩です。
2画面のデュアルディスプレイ拡張方法
パソコンの画面に加えて、もう1台の外部モニターに異なる画面を映し出す「2画面のデュアルディスプレイ」を拡張モードで実現する方法は、比較的シンプルです。多くのノートパソコンやデスクトップPCには、複数の映像出力ポートが標準で搭載されています。
PC本体のポートを利用する
最も簡単な方法は、PC本体に搭載されている映像出力ポートを直接利用することです。例えば、多くのノートPCにはHDMIポートが1つ搭載されています。この場合、ノートPC本体の画面が1つ目、HDMIポートに接続した外部モニターが2つ目となり、簡単に拡張デュアルディスプレイ環境を構築できます。
デスクトップPCであれば、グラフィックボードにHDMI、DisplayPort、DVIなど複数のポートが備わっていることが多く、それらのポートにそれぞれモニターを接続すれば問題なく拡張できます。
USBポートを利用する
もしPCに映像出力ポートが1つしかない、あるいは既に使ってしまっている場合は、USBポートを活用する方法があります。「USB-HDMI変換アダプター」や「ドッキングステーション」といった製品を使用します。これらの機器は、USBポート経由で映像信号を生成し、PCに新たなディスプレイとして認識させることができます。これにより、PC本体のHDMIポートと合わせて、複数の拡張ディスプレイを実現可能です。
2画面拡張の基本は、PCに2つの独立した映像出力を認識させることです。それがPC本体のポートであれ、USB経由であれ、出力の「数」を増やすことが鍵となります。
ノートPCで3画面にするには?

ノートPC本体の画面(1画面目)に加えて、2台の外部モニター(2画面目、3画面目)をそれぞれ異なる内容で表示する「3画面(トリプルディスプレイ)」環境を構築するには、少し工夫が必要です。なぜなら、ほとんどのノートPCに搭載されているHDMIポートは1つだけだからです。
この課題を解決する最も一般的な方法が、USB-C(Thunderbolt対応含む)ポートを活用したドッキングステーションやマルチポートハブの利用です。
ポイントは、2つの映像出力を1つのポートから確保することです。
最近のノートPC、特にビジネスモデルや高性能モデルには、映像出力に対応したUSB Type-Cポートが搭載されています。このポートに、HDMI出力ポートを2つ以上備えたドッキングステーションを接続します。これにより、ノートPCはドック経由で接続された2台のモニターを個別のディスプレイとして認識し、本体画面と合わせて合計3画面の拡張表示が可能になります。
製品を選ぶ際には、お使いのノートPCのUSB-Cポートが「DisplayPort Alternate Mode」に対応しているか、また、製品が「MST(Multi-Stream Transport)」に対応しているかを確認することが重要です。MST対応製品であれば、1つのUSB-Cポートから複数の独立した映像ストリームを出力できます。
ホームシアターで使うサウンドバーのHDMIについての記事はこちら

HDMI分配器 1入力2出力 拡張モード対応の製品選び
この章で解説する項目
- 拡張できるおすすめ製品を紹介
- USBハブやドックがおすすめ
- 2入力2出力 拡張モード対応モデルとは
- 2入力2出力 拡張モード対応の選び方
- HDMI分配器 1入力2出力 拡張モード対応まとめ
拡張できるおすすめ製品を紹介

画面の拡張を実現するためには、「分配器」ではなく、PCにディスプレイを個別認識させる機能を持つ製品を選ぶ必要があります。ここでは、その代表的な製品タイプをいくつか紹介します。
1. USB-C ドッキングステーション / ハブ
近年のノートPCユーザーにとって最もポピュラーな選択肢です。特にHDMIポートを2つ以上搭載したモデルは、ノートPC本体の画面と合わせて手軽に3画面環境を構築できます。USB-Cポート1つで、映像出力、USBハブ、SDカードリーダー、有線LAN、PD充電など多くの機能を拡張できるため、デスク周りがすっきりとします。
製品例としては、Anker、UGREEN、LENTION、Selore&S-Globalといったブランドから多くのモデルが販売されています。
2. USB-A 変換グラフィックアダプター
USB-Cポートがない古いPCや、USB-Aポートしか空いていない場合に有効な選択肢です。このタイプのアダプターは内部に簡易的なグラフィックチップを内蔵しており、USB経由で映像を出力します。DisplayLink社の技術を採用した製品が多く、専用ドライバーのインストールが必要な場合がありますが、安定した拡張表示が可能です。
サンワダイレクトなどの国内メーカーからも多くの製品がリリースされています。
製品選びのポイント
どの製品を選ぶにしても、対応OS、最大解像度とリフレッシュレート、そしてご自身のPCのポート仕様(USB-Cが映像出力対応かなど)を事前に確認することが失敗しないための鍵です。
USBハブやドックがおすすめ

マルチディスプレイで画面を「拡張」したいという目的が明確であれば、HDMI分配器ではなく、USBハブやドッキングステーションを選択するのが正解です。その理由は以下の通りです。
USBハブやドックを推奨する理由
- 個別のディスプレイとして認識:PCのOSが、ハブやドックに接続された各モニターを独立したディスプレイとして認識するため、拡張モードが利用できます。
- 多機能性:映像出力だけでなく、USBポートの増設、SDカードリーダー、有線LAN接続、PCへの給電(PD対応モデル)など、多くの機能を1台でまかなえます。
- ケーブル1本で接続完了:特にノートPCの場合、USB-Cケーブル1本を接続するだけで、すべての周辺機器とモニターに接続が完了するため、持ち運びや設置が非常にスムーズになります。
一方で、デメリットや注意点も存在します。高品質なドッキングステーションは価格が高価になる傾向があります。また、PCのUSBポートの仕様(Thunderbolt対応、DisplayPort Alt Mode対応など)によっては、製品の性能を最大限に引き出せない場合があるため、購入前の互換性チェックは必須です。しかし、それらの点を差し引いても、デスクワークの生産性を劇的に向上させる投資価値は十分にあると言えるでしょう。
2入力2出力 拡張モード対応モデルとは

「2入力2出力」というキーワードで製品を探していると、少し異なる機能を持つ機器が見つかることがあります。これは一般的に「HDMIマトリックススイッチャー(切替器)」と呼ばれるものです。
これは、1台のPCから2台のモニターへ「拡張」するための機器ではありません。その機能は以下の通りです。
- 2つの入力:パソコンとゲーム機など、2台の異なる機器を接続します。
- 2つの出力:モニターAとモニターBなど、2台の異なるディスプレイを接続します。
マトリックススイッチャーを使えば、「入力1(PC)の映像を、出力1(モニターA)と出力2(モニターB)の両方に表示する」ことや、「入力1(PC)をモニターAに、入力2(ゲーム機)をモニターBに、それぞれ同時に表示する」といった自由な組み合わせでの切り替えが可能になります。
目的の違いを理解しよう

・ドッキングステーション:1つのソース(PC)の画面を、複数のディスプレイに「拡張」するのが目的。

・マトリックススイッチャー:複数のソースを、複数のディスプレイに自由に「切り替えて割り当てる」のが目的。
「拡張モード対応」という言葉に惑わされず、ご自身のやりたいことがどちらなのかを明確に区別することが重要です。
2入力2出力 拡張モード対応の選び方
前述の通り、「2入力2出力」という言葉は通常マトリックススイッチャーを指すため、ここでは「1台のPCから複数画面へ拡張するための機器の選び方」として解説します。適切な製品を選ぶためには、以下のステップで確認を進めましょう。
ステップ1:自分のPCのポートを確認する
最も重要なのが、お使いのPCに搭載されているポートの種類と仕様です。
- USB Type-Cポート:ポートの横に雷マーク(Thunderbolt)やDのマーク(DisplayPort)があれば、映像出力に対応しています。この場合、選択肢が最も豊富です。
- HDMI / DisplayPort:PC本体にこれらのポートがいくつあるか数えましょう。
- USB Type-Aポート:USB3.0以上の青いポートがあると、変換アダプターを快適に利用できます。
ステップ2:接続したいモニターの数と解像度を決める
何台の外部モニターを接続したいですか?また、そのモニターの解像度(フルHD, 4Kなど)とリフレッシュレート(60Hzなど)はどの程度必要でしょうか。特に4Kモニターを複数接続したい場合は、高性能なドッキングステーションやPC本体のスペックが求められます。
ステップ3:必要な機能で製品を絞り込む
映像出力以外に、どのような機能が必要かを考えます。
- 給電機能(PD):ノートPCを充電しながら使いたい場合は必須。
- USBポート数:マウスやキーボード、外付けHDDなどをいくつ接続しますか。
- 有線LANポート:安定したネットワーク接続が必要な場合に。
- カードリーダー:写真や動画の取り込みに便利です。
これらの要素を総合的に判断し、ご自身の使い方に最適なドッキングステーションや変換アダプターを選ぶことが、快適なマルチディスプレイ環境への近道です。
HDMI分配器 1入力2出力 拡張モード対応まとめ
- HDMI分配器は1つの映像信号をコピーして同じ画面を映す「複製」が目的
- 異なる画面を映す「拡張」は一般的なHDMI分配器では原理的に不可能
- PCは分配器の先に接続された複数モニターを1台の機器としてしか認識しない
- 拡張モードはモニターの数だけ作業領域が広がりマルチタスクに最適
- 複製モードはプレゼンなど同じ情報を複数人に見せる用途で利用される
- 2画面拡張はPC本体の複数ポートやUSB変換アダプターで実現できる
- ノートPCで3画面拡張するにはHDMIを2ポート以上持つドッキングステーションが必須
- 拡張目的の製品選びでは「分配器」ではなく「ドッキングステーション」や「ハブ」を探す
- USB-CポートがDisplayPort Alternate Modeに対応しているか確認が重要
- 古いPCではUSB-A接続の変換グラフィックアダプターが有効な選択肢になる
- 製品を選ぶ際は対応OS、解像度、リフレッシュレートの確認を忘れない
- 2入力2出力は通常、複数機器を切り替えるマトリックススイッチャーを指す
- 自分のPCのポート仕様を把握することが製品選びの最初のステップ
- 必要なモニター数や解像度、追加機能によって選ぶべき製品は変わる
- 最終的にケーブル1本で環境が整うドッキングステーションは生産性向上に大きく貢献する